茶道の名匠・千利休の娘・吟の悲恋を描く、今東光原作の同題名小説の映画化。
・ amazon : Ogin sama (1978) / お吟さま
Ogin sama (1978) / お吟さまのあらすじ
秀吉の茶頭・千利休(志村喬)の娘・吟(中野良子)は、五年ぶりにキリシタン大名高山右近(中村吉右衛門)を、父の名代で高槻城へ訪ねた。吟は二十歳になる今日まで嫁入りもせず、幼なじみの右近を慕い続けてきたのだったが、妻のある右近はキリシタンの教えにそむいてまで、吟の思いを受け入れようとはしなかった。利休は大阪城で、石田三成から吟の縁談を持ちかけられる。気の進まぬ吟は、高槻から明石へお国替え中の右近に心中をうちあけるが、彼は冷たくあしらうのだった。万代屋宗安に嫁いだものの、吟の右近に対する思いは増すばかりであった。天正十五年十月、北野の大茶の湯が催された際、吟の美貌に秀吉(三船敏郎)は激しく心を動かされる。三成と宗安は、吟を秀吉に差し出し、おのれの栄達を画策する。一方、キリシタン禁制の布令で身を隠していた右近のもとへ、吟は馬を走らせ、御身の危急を知らせる。そして、九州まで一緒に連れて行ってくれと哀願する吟に、右近は困惑しながらも、彼女と添い寝する。しかし、右近は吟に心を残しながらも、彼女を置き去りにし、絶望の淵にたたき込む。天正十八年、秋深き大阪城にむかえられた吟は、黄金の茶室で秀吉から求愛の言葉を受けた。翌年一月、卑怯極まる秀吉の横恋慕に、利休は命に代えても吟を守ろうと、身をひそめていた右近に、吟の加賀への同行を頼む。その夜、利休一家は揃って別離の宴をはったが、千家はすでに秀吉の軍勢に包囲されていた。逃れるすべのなくなった吟は、白無垢の死装束に身を正し、右近に別れの書状を残し離れ座敷へと姿を消す。二月二十八日、太閤秀吉の命により、利休は切腹する。高山右近はルソンに追放され、マニラでその生涯を閉じた。